Playwright 1.62 のコンポーネントレベル VRT を実際に構築してみた

インフラ

Playwright 1.62.0 で、これまで実験的な機能だったコンポーネントレベルの VRT(Visual Regression Testing)が正式にパッケージへ含まれるようになりました。実際に自分のプロジェクトへ導入してみたので、構成の全体像とハマったポイントをまとめておきます。


まず驚いたこと:手順書の一行目が「エージェントに任せろ」だった

公式の環境構築手順を開いて最初に目に入ったのが、

エージェントにこのスキルを渡して環境構築するのが早いです

という一文でした。手順書の一番最初にこれが書かれている。世の中はもうエージェントありきでドキュメントが作られているんだな、というのが正直な第一印象です。


Playwright のコンポーネント VRT はどういう構成になっているか

全体像

Playwright のコンポーネントレベル VRT は、ざっくり言うと次の 2 つに分かれます。

  1. VRT 対象のコンポーネントを描画するアプリケーション(アプリケーションサーバーとして立ち上がる)
  2. そのブラウザにアクセスして、1 つずつ見た目をチェックしていくテスト側
[ *.story.tsx ]
      │  main.tsx が探し出して描画
      ▼
[ index.html + main.tsx ]  ──►  VRT 用アプリサーバー
                                      ▲
                                      │ アクセスしてスクリーンショット比較
                                [ *.spec.ts ]

用意するもの

そのため、VRT を行うにあたって事前に準備が必要なのは以下です。

ファイル役割
index.html本番アプリとは別の VRT 用エントリポイント。テストのアクセス先になる
main.tsxindex.html 内でどのコンポーネントをどう描画するかを定義する
*.story.tsxVRT 対象のコンポーネントを定義するファイル(この拡張子が推奨)
*.spec.tsテスト側。描画されたブラウザに対して検証を行う

main.tsx がやることはシンプルで、.story ファイルを探し出して、あとはループで 1 つずつ描画していくだけです。実際、行数としては 100 行にも満たないくらいのものでした。

ただし、「どのファイルを、どういう形で描画するか」はプロジェクトに合わせて自分で決めなければいけないのがポイントです。ここがかなりプロジェクト固有の判断になるため、公式が「エージェントを使ったほうが早い」と書いている理由もなんとなく理解できました。


既存の E2E テストとの共存

もともと Playwright で E2E テストも回していたので、E2E と VRT の両方を動かせる設定にする必要がありました。ここが地味に手間のかかるところです。

playwright.config.ts は projects を複数定義できるので、E2E 用と VRT 用でプロジェクトを分けました。

// playwright.config.ts のイメージ
export default defineConfig({
  projects: [
    {
      name: 'e2e',
      testMatch: /.*\.e2e\.spec\.ts/,
      use: { baseURL: 'http://localhost:3000' }, // 本番相当のアプリ
    },
    {
      name: 'vrt',
      testMatch: /.*\.vrt\.spec\.ts/,
      use: { baseURL: 'http://localhost:3100' }, // VRT 用アプリ
    },
  ],
});

ポイントは 2 つです。

  • baseURL をプロジェクトごとに設定する → E2E はこっちの URL、VRT はこっちの URL、とアクセス先を分けられる
  • どのファイルをテスト対象にするかを制御する → VRT のスペックファイルが E2E 側で拾われてしまわないよう、testMatch / testDir などで明示的に切り分ける

ハマりポイント:workers はプロジェクト単位で効かない

E2E と VRT はそれぞれ独立して動いてほしかったので、プロジェクトごとに workers を設定しようとしました。

しかしこれがうまくいかず、結果として E2E 内で 2 ワーカーが同時に動いたり、VRT 内で 2 ワーカーが同時に動いたりという挙動になってしまいました。

現行バージョンでは、「プロジェクト単位で workers を指定する」という指定は効かないようです。ワーカーの扱いには注意が必要で、並列数を制御したい場合はトップレベルの設定や実行コマンド側で調整する必要がありそうです。


まとめ

  • Playwright 1.62.0 でコンポーネントレベル VRT が正式機能に
  • 構成は「VRT 用アプリ(index.html + main.tsx + *.story)」と「テスト(*.spec)」の 2 本立て
  • main.tsx 自体は小さいが、描画対象の決め方はプロジェクト固有なので自分で設計する必要がある
  • 既存 E2E との共存は projects + baseURL + テスト対象の切り分けで対応
  • workers のプロジェクト単位指定は効かなかったので、並列実行の制御には注意

以上、Playwright を使ったコンポーネントレベル VRT の構築記録でした。

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